となみのきっぷブログ

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「補正禁止」を指定する乗車券

 ご覧いただきありがとうございます。今回は経路入力操作により発券した120mm券を紹介します。

 東京駅 八重洲北口みどりの窓口で発行した、馬喰町→横浜までの普通乗車券です。

 経路入力の際の経路は以下の通りです。

馬喰町(総武)錦糸町(御茶水支線)秋葉原(東北)赤羽(赤羽線)池袋(山手2)新宿(中央東)東京(東海道新幹線)品川(東海道)大船(根岸線)横浜

 120mm券ですので、経由駅数11以上で経路数は12以上あります。経路数12は以下です。 

1.総武 2.総武2 3.東北 4.赤羽線 5.山手2 6.中央東線 7.東北 8.(東京) 9.東海道新幹線 10.(品川) 11.東海道 12.根岸線

 このうち、券面では省略されている経路が多くあります。[2. 4. 5.]は完全に省略。[7.]の省略は少し異例です。東京ー神田間のマルス経由線は、「東北」と「中央東」のどちらでも入力が可能です。今回の場合、出札係さんが「東北」を選択しなかったため、新宿ー東京間のマルス経由線は「中央東」扱いとなっています(※1)。[12.]は「根岸線」表記が「本郷台・桜木町」に変わっています。これは「特殊経由線」というものです。

 ※1 ちなみに新宿ー東京間は書類上、要するに正式名称では、新宿(山手線)代々木(中央本線)神田(東北本線)東京 となります。

 

 さて、この乗車券ですが、発券の際に「補正禁止」という特殊な操作を行なっています。マルス及び POS などの営業キロ(または運賃計算キロ)から運賃を計算するシステムでは、一定の区間で、自動的に最短経路で計算されるようになっています。「一定の区間」とは、下図の太線で囲まれた、旅客営業規則第70条に関連する区間です。

 

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 通称「70条太線区間」とか「70条区間」と呼ばれます。この区間内は、マルス及びPOSで最短経路以外の経路の指定ができません。正確には、入力できますが再考(エラー)となります。

 しかし、この乗車券では経路の指定がなされています。これには、70条区間内の経路入力中に「補正禁止」を指定しています。マルス・POSが最短経路に補正して計算するのを防いでいるのです。先ほど述べた通り、これを行わないとエラーになってしまいますので、発券できません。

 ただし経路入力中に補正禁止を用いるケースは特異的な場合のみです。東京山手線内発にならないときの70区間発着と相互発着、2回通過する場合、同駅を発着駅とする環状線一周乗車券くらいだと考えられます。めったに使わない機能であるため、出札係さんのスキルによっては使わない判断をされることもあるかもしれません。

 

 最後に、今回の乗車券の券面証明をまとめました。

〈入鋏印〉

馬喰町駅都営地下鉄 馬喰横山駅

〈途中下車印〉

錦糸町、両国、浅草橋、秋葉原御徒町、上野、日暮里、王子、赤羽、十条、板橋、池袋、高田馬場、新宿、御茶ノ水、神田、浜松町、品川、西大井、大船、新杉田桜木町

〈途中下車代理証明印〉

武蔵小杉駅下車代[平間]、大船駅代[北鎌倉]

〈乗車記念・無効印〉

横浜駅

 

 様々なきっぷがありますが、120mm券での旅行は非日常を感じられて面白いですね。今回はここまでです。閲覧ありがとうございました。